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たそがれたかこのネタバレ感想!40代独女がつまらない毎日から脱却!

「たそがれたかこ」という漫画を一言でいうと、つまらない毎日が楽しくなる漫画です。

昨日も今日も、やってることはさほど変わらない。

同じような毎日を過ごしてる。

ただなんとなく過ぎていく時間。

つまんないと思うかもしれない人生。

 

正直、年齢を重ねると、昔のように日々の楽しみは少なくなり、感動することもあまりありません。

だけど、そんな当り前の毎日の中にも、実は楽しみや幸せがある。

たそがれたかこを読むと、そんなつまらなかった日々が、楽しいと思えるようになります。

 

たそがれたかこの作者は入江喜和(いりえきわ)さんです。

『月刊アフタヌーン』の「四季賞・1989年冬のコンテスト」で「杯気分! 肴姫」が四季賞を受賞。

「人情もの」という最近にしては珍しい作品を得意とする漫画家さんです。

読む人をほっとさせ、忘れていた人のやさしさに涙する人は多くいます。

『のんちゃんのり弁』が1997年にTVドラマ化され、2009年には映画化されました。

2013年から2017年まで女性漫画雑誌の『BE・LOVE』にて『たそがれたかこ』を連載。

代表作に「おかめ日和」などがあります。

ちなみに、このおかめ日和ですが、非常におもしろいです。

わたしが、入江喜和先生の作品を初めて読んだのはこのおかめ日和です。

かなり亭主関白の夫が出てくるのですが、嫌な奴じゃなくて、垣間見える愛情がなんともいえません。

たそがれたかこ同様、読んでいると明るい気持ちになる作品です。

たそがれたかこ ネタバレ

45歳の宵闇

45歳の片岡たかこは、年老いた母と一緒に大家をしているアパートで二人暮らしをしていた。

朝起きて、仕事に行く。

帰宅して母と過ごし、眠りにつく。

特別楽しいことも、特別悲しいこともない。

ただただその日を過ごすだけの毎日を送っていた。

 

たかこたちの隣の部屋には、シングルマザーとその娘たちが住んでいた。

時折、その子供たちと一緒に、夕飯を食べることがあったたかこと母。

たかこは、そんな瞬間にふと思い出す。

別れた夫のところにいる娘のことを────・・・。

 

このところ、たかこは夜になると妙に気持ちが沈むことがあった。

その日もふっと夜中に目覚めて、急に涙が溢れて止まらない・・・。

 

思いあまってたかこは、外に出ていった。

酒を片手にひとり土手を歩くたかこ。

暗い土手の向こうは、ビルの明かりが輝いていた。

 

こんなとき、ちゃんと年相応の大人の女なら、行きつけの店とかに一人でいけるのかな・・・。

それか、友達とか、家族とかに、話をきいてもらったりするんだろうか・・・。

しかし、大きな原因があるわけで、こんな風になっているわけじゃないし・・・。

逆にすべてが原因で嫌になっている・・・?

 

さまざまな声が心にこだまする。

 

「耐えているでしょ」

そう、声に出しながら、たかこは、ひとり悶々としていた。

 

そうして突然、口ずさむ。

「これでぇ いいのだあ~」

 

すると、たかこに合わせて声が聞こえてきた。

「これでぇ いいのだ~」

「ボンボンバカボン・・・」

 

たかこは声のした方を咄嗟に振り向く。

そこには、にっこり微笑む男の姿があった。

 

深夜に出会ってしまいました

その男は、たかこと目が合うと親し気に話しかけてきた。

「名曲だよね、この歌。つい口ずさみたくなる」

たかこが黙っていると、男はさらに続ける。

 

たかこは、男から目をそらし、働かない頭で必死で考える。

 

(ヤバい人はヤバい人を呼び込むことがある・・・・。)

そう思った瞬間、たかこは踵を返して、男の元から立ち去ろうとした。

 

が、次の瞬間、手にしていた酒を落としてしまう。

落とした酒のカップが足の甲を直撃して、激痛が走る。

あまりの痛みに思わずしゃがみ込むたかこ。

しかし、男が怖くてうしろを振り返ることはできない。

 

すると、男は頭に巻いていた手拭いをほどくとたか子に差し出した。

「これで拭く?手ぬぐい。汚くないと思うよ。さっき頭洗って巻いたばっかりだから」

背後から聞こえる男の声に、振り返らずに頭を横に振って返事をするたかこ。

 

警戒心丸出しのたかこに男は言った。

「なんかすごい警戒されてるようだから行きますわ。あやしいもんじゃないんだけどなぁオレ」

「そこの上、上がったとこで小さな店やってんの。酒も飲めるし夜中の3時4時までやってるから、よかったら今度来てみて」

 

その言葉を聞いた瞬間、すべてが腑に落ちて、たかこは男の方に向き直った。

 

振り返ったたか子をみて、男も言葉が弾んだ。

「大丈夫?おねえさん一人で」

「あ・・はい 近くに住んでるんで・・・」

 

「夜中はなるべくインドアで飲まないと危ないよ」

「あ、ハイそーします」

 

 

そういって、たかこは一目散に家へと帰っていった。

 

そっと玄関のドアを開けて、部屋を覗く。

布団の上で母がいびきをかきながら眠っていた。

 

朝起きて、朝食を母ととる。

そうして、仕事へ行く。

その生活は変わらない。

 

けれども、ふっとたかこの心の片隅に、昨日出会った男の言葉が響いていた。

「小さい店やってんの」

「3時4時までやってるから」

 

なんでもない日常の中の一コマ。

だけれども、この男との出会いがたかこの日常を少しづつ変えていくことになる。

 

そのことをたかこはまだ知らなかった。

 

人生が変わる瞬間

その日の金曜も、いつもと同じ金曜日だった。

母と夕食をとり、酒を飲む。

なんとなくだらだらと過ごす金曜の夜。

飲みながら机に突っ伏して眠ってしまったたかこだった。

 

つけっぱなしのラジオから夜中の2時を知らせる声が聞こえた。

ふっと目を覚ますたか子。

 

軽快な音楽と共に、深夜2時からのラジオ番組が始まった。

 

だが・・・。

軽快な音楽とは裏腹のしどろもどろのラジオパーソナリティ。

極めつけは、はげしい咳込み音。

 

なんともひどいラジオ番組のはじまりに、消すタイミングを失い、そのまま聞き入ったたかこ。

 

そのうち、その彼のトークに思わず笑ってしまう自分がいた。

 

笑ったおかげか、少しだけ気分が晴れたたかこは、明日、あの男の店を探してみようかとふと思った。

この瞬間から、たかこの日常が少しずつ変化していくのだった。

 

たそがれたかこの見どころ感想

当たり前の日々も、なんだかわくわくしちゃうような。

不思議ですが、この漫画にはそんなパワーがあります。

大人になると面白いと思える漫画が広がりますね。

10代の時にこの漫画を読んだって、絶対にわからなかった。

じんわりくる物語の深み、味わいがわかるって、大人の特権ですね。

「たそがれたかこ」を読んでいると、本当に今この瞬間を生きていることが楽しいと幸せだと思えてきます。

それは、何も特別なことがあったからじゃない。

ただただ平凡な毎日なのに、その時その時がとてもうれしくて、自分という生きものが最高にハッピーで、愛しくなる。

 

ちょっと、元気がないときとか、落ち込んでいる時があっても、この漫画を読めば、体の中から力が溢れてくるような・・・。

その力というのも、ガツンとしたパワフルなものじゃなくって、すっごく優しいあったかいもの。

でも、とても力強い。

たそがれたかこはそんな力を呼び覚ましてくれる不思議な漫画です。

読んでるとどんどん楽しくなって、ひとりでふっふっふとにやけてきます(笑)

つまらないと思っていた日常に、幸せや楽しみを見つけてくれるそんな漫画です。

もちろん、ただただそれだけじゃないのが、この作品のいいところ。

直面する人生の悩みも混ぜ込まれていて、何とも言えない味のある深い作品となっています。