1月28日、東京株式市場は日経平均が大幅に下落し、3日連続の下落となりました。前営業日比で548円93銭安の3万9016円87銭で取引を終え、特にAI関連銘柄に売り圧力がかかる結果となりました。この動きは、米国のハイテク株が下落した影響を受け、中国の新興企業「ディープシーク」が開発したAIモデルの登場が引き金となったとされています。
半導体関連銘柄の売り圧力強まる
日経平均は前場開始時点で165円安でスタートした後、下げ幅を拡大しました。特に半導体関連銘柄に対して売りが強まり、前場の序盤では一時600円以上の下落を記録。ディープシークの低コストAIモデルが登場したことにより、AI需要が半導体メーカーからデータセンターに至るまでサプライチェーン全体に広がる見通しが疑問視され、関連銘柄に対する売りが続きました。
内需株に安定感も、全面的な売り圧力には至らず
とはいえ、東京市場全体に売りが広がる展開には至りませんでした。内需関連株には物色の動きが見られ、相場の下げ幅を限定的に抑える形となりました。後場に入ると一進一退の展開が続き、日経平均は3万9000円を挟んで推移しました。
世界景気の先行き懸念が影響か
三菱UFJアセットマネジメントのチーフファンドマネジャー、石金淳氏は、米国や中国の経済指標に悪化の兆しが見られることを指摘し、これまで強気だった世界景気への見通しに対する懸念が広がり始めているのではないかとの見解を示しました。ディープシークの登場によりハイテク株が売られ、これが世界経済の先行きに対する不安感を強めている可能性があります。
個別銘柄の動き
個別銘柄では、アドバンテストやソフトバンクグループが大幅に下落しました。アドバンテストは11%超、ソフトバンクグループは5%超の安値を記録。三菱重工業や日立製作所も約6%安となり、特に重工株にも売りが強まりました。一方、内需株の中ではオリエンタルランドや任天堂がそれぞれ4%超の上昇となり、安定感を見せました。
新興市場:グロース市場の反発
新興市場では、東証グロース市場の株価指数が反発しました。グロース市場指数は1.38%上昇し、647.71ポイントを記録しました。これは、低コストで開発が進むAIの普及に対する期待感が広がり、特にITサービスを手掛ける銘柄が大きく上昇したことが背景にあります。
市場全体の動きと指標
プライム市場では、値上がり銘柄が1093銘柄(約66%)を占める一方、値下がり銘柄は511銘柄(31%)となり、市場全体の動きは分かれる形となりました。全体的な売買代金は5兆474億円に達し、市場の活況も一部で見られました。